年に1回でも大丈夫?松の最適な剪定時期とお手入れのポイント

日本の庭の代表的な樹木といえば、松を思い浮かべる方も多いでしょう。手入れの行き届いた松の木の見栄えは美しいものです。一般的に松の手入れは難しく面倒といわれます。さまざまな方向に生える枝や松ヤニ 、小さな葉による作業のしづらさが原因です。しかし、素人でも上手に松の手入れをしている方も少なくありません。松特有の手入れ方法を知りコツを押さえることで、上手に松の剪定ができるでしょう。この記事では松の手入れをするのに最適な時期と、時期ごとの剪定方法について詳しく解説します。


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松の特徴と種類

松は松科松属の常緑高木で、古くから重宝されてきた日本を代表する庭木 です。松属には100種類以上の樹木がありますが、一般的には黒松・赤松・五葉松を指します。細長い針葉や枝先に扇状に葉がつく 特徴があり、高さは10〜40m、幹の直径は30〜150cm程度です。

寺院や公共の場所・民家などさまざまな場所に植えられ、景色を美しくする観賞樹として広く利用されています。美しさや健康を保つためには、こまめで丁寧な手入れが必要です。

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松の手入れに最適な時期

松の木の剪定は春の「みどり摘み」と晩秋から冬にかけての「もみ上げ」という年2回の作業が基本です。また夏に樹形を整える剪定作業を行う場合もあります。

季節により剪定の内容は異なります。ここからは具体的な剪定作業について見ていきましょう。

松の新芽が出てくる4〜5月末に、みどり摘みを行います。松の新芽のことをみどりと呼び、余分な新芽を除いておくことで、その後成長しても しまった形の樹形を維持できます。

この時期の松の先端を見ると、まだ葉が出ていない新芽が数本出ています。このまますべての芽が成長すると松の形が崩れてしまいます。

あらかじめ余分な芽を取っておくことで綺麗な形で成長し、夏や秋から冬の時期に行う剪定作業が楽になります。

基本的に、春と秋に行う2回の手入れで松の木の形を整えられますが、夏に行う1回の剪定で一気に樹形を整える方法もあります。

季節は盛夏を避けた7月または9月が良いでしょう。

秋・冬

秋から冬にかけての時期は夏の間に成長した枝を少なくして、古くなった葉を取り除きます。松の木の健康のために空間を作り、樹形を整えることが目的です。

松は日当たりを好む樹木ですが、枝や葉が多すぎると幹まで日光が届きません。また葉が混んでいると、害虫被害も発生しやすくなります。古い葉をあらかじめ取ってしまえば、落ち葉に悩まされることもありません。

枝を剪定してから、もみ上げと呼ばれる手作業で古い葉をむしり取っていきます。

もみ上げは葉が落ちやすくなった晩秋から冬にかけて行うと作業が楽です。地域によって時期は多少前後しますが、11月〜12月末が適しているでしょう。

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松の手入れを行う方法

松の手入れは、ほかの樹木とは異なる独特の工程があります。剪定作業に必要な道具と、それぞれの季節の手入れ方法を具体的に解説します。

剪定を行う前の準備

剪定作業に入る前に、まずは必要な道具を準備しましょう。それぞれの使い方を解説します。

・長袖の服
剪定作業中は枝などで体を傷つけやすいので、長袖長ズボンを着用しましょう。松ヤニは衣類に付くと洗濯しても取れません。汚れても良い服や、松の手入れ専用の作業服に着替えましょう。

・ゴム手袋
手の汚れや松の葉のチクチクが気になる方はゴム手袋を着用しましょう。松の手入れは指先を使う細かい作業が多いので、ピタッと手にフィットしたゴム手袋がおすすめです。ただし、葉をむしり取る作業は手袋をしているとやりにくいので、素手で作業するようにします。

・剪定する道具
もみ上げや透かし剪定には剪定道具が必要です。太めの枝や不要な芽を切り落とす剪定バサミ、枝先や細い枝を切る植木バサミ、剪定バサミでも切れない太い枝を切断する剪定用のこぎりを準備しましょう。

・ゴミ袋
剪定した葉や枝を集めて処分するためのゴミ袋が必要です。

・脚立
高い位置の枝の作業をするためには脚立や踏み台が必要です。松の木の高さに合わせて用意しましょう。

春に行う剪定の方法

春に行うみどり摘みは基本的にすべて手作業です。みどりと呼ばれる新芽は、優しく手で回せば簡単に取れます。みどり摘みをするのが遅くなり、成長して手でむしり取るのが難しければハサミでカットします。

新芽は1本から複数本生えています。基本はY字型になるように2〜3本の新芽を残します。芽が伸びる方向を見極めて、成長した姿を想像して摘み取る芽と残す芽を決めましょう。

例えば3本の新芽がある場合、真ん中の芽は勢いがあるので指でむしり取り、外側の2本を残します。最後に残した新芽も2分の1から3分の1の長さになるように短く折っておきます。

枝をよく観察して、不要だと思う新芽は元からすべて取ってしまいましょう。成長した松の木の樹形を想像することが大切です。

夏に行う剪定の方法

年に1回、夏に剪定をする際は樹形を整えることが目的です。間引く剪定をして、枝の塊同士の空間を作り、風通しを良くするイメージで整えていきましょう。

太い幹から出ている枝ごとに樹形を見定めて、形を整えていきます。横から見て、高さを揃えるように剪定していきましょう。

次に上から見て適度に空間が出るように枝を間引きます。枝は根元から切るのではなく、来年芽がでる部分を残して、その上で切り落とします。葉は来年の芽を残してむしり取ります。こうすることで、秋の手入れのもみ上げが不要になります。

秋・冬に行う剪定の方法

秋から冬の時期にかけては、夏に伸びた枝を減らし、古い葉を落とします。

夏に伸びた枝を減らす方法としては「透かし剪定」と「切り戻し剪定」の2種類があります。どちらも松の木の上から下、奥から手前の順番に剪定すると作業がしやすいでしょう。

透かし剪定は枝の数を減らし、風通しをよくする 作業です。枝が多く混んでいる箇所の枝を減らすことで、日光がよく当たるようになります。木の上から枝の向きを確認して、重なっている枝を切り落とします。勢いのある枝を除くと良いでしょう。

切り戻し剪定は枝を途中から切って短くする作業です。Y字型になるようにイメージしながら剪定していきます。

枝を減らした後に古い葉を取っていきます。春のみどり摘みで残した芽から成長した枝以外の古い枝についている葉は、すべてしごき落とします。またみどり摘みで残した枝の葉も先端の7〜8対を残してむしり取ります。

葉が垂れ下がっていると樹形の輪郭がはっきりせず、格好良い形になりません。垂れ下がっている枝をむしり取ると、きれいな仕上がりになります。ただし、取りすぎると枝が少なく寂しくなってしまうので、空間を見ながら適度に整えましょう。

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松の剪定が難しい理由

松は、その特徴から初心者には剪定が難しいといわれています。ここでは松の剪定が難しい理由について紹介します。

芽や枝が多くて手間がかかる

松はほかの木と比べて芽や枝が多く、剪定に手間がかかります。

松の剪定は職人でもどこから手を付けるか悩むといわれるほどです。そのため、素人では切るべき場所を見極められず、切る必要のないところを切ってしまうおそれもあります。

とくに、冬に行う古い葉を手でむしり取る 作業は多くの手間がかかります。ハサミを使っても時間の短縮にはつながりにくく根気が必要です。

木の形が崩れやすい

松の木を強引に刈り込んでしまうと、木全体の形が崩れたり、部分的に枯れてしまったりすることがあります。

素人が剪定する場合には、根元の枝を切りすぎないように木の形を維持しつつ、必要な部分をバランス良く切り落とすことが大切です。

多めに枝を刈りたい場合、初心者が手を加えると全体にダメージを与えてしまうおそれがあります。そのため専門の業者に相談することも視野に入れておきましょう。

弱っているときに剪定すると枯れる

弱っている状態の松を剪定してしまうと、害虫の被害が増え、また強いストレスを与えてしまうことで 、 最悪の場合は枯死するおそれもあります。

また、免疫力が低下している松は剪定後に十分な栄養を吸収できません。そのため害虫の被害を受けると 、さらに弱ってしま います。

松が弱っているかを見定めるには葉の色を確認しましょう。葉が黄色っぽくしなびている場合、剪定 すると枯れてしまうおそれがあります。肥料や活力剤で栄養補給をし、葉の状態が良くなってから剪定するようにしましょう。

葉や松脂が邪魔になる

葉や松脂が松の剪定の邪魔になることも剪定が難しい理由のひとつです。松の葉は針のような形状をしているため、触れると手や体に刺さってしまいます。

松には一年中葉がついているため、剪定の際に目隠しになって切りたい枝の位置を把握しにくいことも難点です。

松脂は松が傷ついた部分を守るために出る液体のことで、特に黒松から取れます。松を剪定する際、松脂特有の粘り気とツンとした臭いがきつく、服や手に松脂がつくとなかなか落とせません。剪定の際には、松脂が出ている部分を拭く必要があり、作業に時間がかかってしまいます。

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綺麗に松の手入れを行うには業者依頼が近道

松の手入れは、ほかの木よりも手間や時間がかかってしまいます。また、松全体の形を整えるためには、松の特性を熟知した知識と経験が必要です。

綺麗に松の手入れを行うためには、専門業者に依頼することも視野に入れておくことをおすすめします。

ここでは業者に依頼する際の依頼内容や選ぶポイントを紹介します。

業者に依頼する場合

松の手入れは、季節ごとに内容が異なり、工程が多いという特徴があります。成長してからの形を想像して残す枝を決めるのは慣れていないと難しく、樹形が乱れることも少なくありません。また、ベタベタしている松ヤニは体につくと取るのが大変です。

綺麗に松の手入れをしたいのであれば、専門業者に依頼するのがおすすめです。剪定で出たゴミも処分してくれるので、後始末も楽に済みます。

お住いのエリアや松の形状によっても金額は異なりますが、造園業者に作業員1人、1日の作業を依頼した場合、3万円程度からが相場です。一般的に2人以上で作業をして、必要な松の剪定作業に応じて日数が決まります。

業者を選ぶ際のポイント

松の剪定を依頼する業者を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。

【業者を選ぶ際のポイント】

・相場より極端に安い業者は避ける
・無料の見積りをしてくれる業者にする
・作業内容を明確に説明してくれる業者にする
・できるだけ近くの業者にする

松の剪定業者を選ぶ際には、経験豊富な業者を選ぶことが大切です。理由は、ほかの木の剪定よりも適切に行わないと松の健康状態に影響を及ぼしてしまうからです。また、剪定前に作業内容を丁寧に説明してくれたり、見積りをとってくれたりする業者だと、安心して任せられます。

インターネットなどを利用して業者の口コミや評判を確認できるので、あらかじめ確認しておきましょう。

松の剪定を依頼するなら「おうちの御用聞き家工房」へ

お家のことであれば庭も含めて室内外のお悩みに対応している「おうちの御用聞き家工房」でも松の剪定を承っています。

最短即日で対応可能ですので、庭の松の木が気になっていましたら、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

松の手入れは、春と秋から冬頃の時期の年2回が基本です。少し難しくなりますが、夏にまとめて手入れする方法もあります。松の手入れは樹形を整え、日光がよく当たるようにすることが目的です。みどり摘みやもみ上げといった、ほかの樹木とは異なる松特有の手入れ方法があります。

松の木の剪定は難しく手間もかかるため、自分で手入れするのが不安であれば業者への依頼がおすすめです。