自宅のお風呂のリフォームの必要性
家族しか利用しない自宅のお風呂を、お金をかけてリフォームすることに疑問を感じる方もいるでしょう。「家族が入浴を介護するから問題ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、自宅のお風呂こそ真っ先にバリアフリー化を検討すべき場所といえます。
お風呂のリフォームが必要である理由として、次の3つがあげられます。
介護者の浴室での危険や負担を減らすため
浴室は、家の中でも事故が起きやすい場所だとされています。
たとえば、濡れた床は滑りやすく、転倒して頭を打つなどの大きなケガにつながる可能性があります。
築年数の経った家は浴室と脱衣所の間に大きな段差があったり、浴槽が狭く深く作られたりと、入浴自体が困難です。段差で転倒することもあれば、深い浴槽の中で溺れる危険もあります。
また、冬場を中心に注意したいのが、脱衣所と浴室、洗い場と浴槽の中の温度差です。寒い場所から温かい場所に移ることで、激しい温度差によってヒートショックを起こすことがあります。
リフォームをすることでこれらの事故を防止することができます。
介助者の負担を軽減するため
一般家庭の浴室は大人2人で入ると空間的な余裕がないことが多く、入浴介助を行うときは動きにくいことがあります。
リフォームで介助しやすいスペースを設けることで、大々的な設備の一新を行わなくても介助者にとって快適なお風呂となります。
自由に動ける空間を設けることだけでも、お風呂をリフォームするメリットは大きいでしょう。
早めに対策・準備をするため
リフォームは大まかに流れを考えるだけでも、以下のとおり複数のステップが存在します。
・イメージを固める
・施工業者を選ぶ
・打ち合わせで細かな部分を決める
・契約・施工
・仕上がりのチェック
お風呂だけのリフォームであれば日数はかかりませんが、リフォームを行うまでに打ち合わせなどを行う必要があります。また、上記以外にも金額によってはローンの手続きも行わなくてはなりません。
介護が始まると、時間的にも金銭的にも余裕がなくなるケースが多いものです。本格的に介護が始まる前に、毎日使用する場所のリフォームを済ませて備えておきましょう。
お風呂のリフォームでチェックすべき10のポイント
お風呂のリフォームを計画するときは、多くの事例を参考にすると失敗しません。バリアフリーでお風呂をリフォームしている方のほとんどは、同様の部分に力を入れています。
この項目では一般的に重視されている、お風呂のリフォームでチェックすべき10のポイントについて紹介します。
1.扉
脱衣所から浴室へ入るための扉は、引き折れ戸がおすすめです。
築年数の経った家のお風呂では、片開き・内開きの扉が採用されているケースも少なくありません。内側に開いたり折り込んだりする扉の場合、入浴中に洗い場で倒れると体が扉を塞いでしまうことがあります。
外側に折ることのできる引き折れ戸であれば、緊急時は外から簡単に開けることができるため安心です。開閉に力がいらないタイプが多いうえ、出入り口のスペースを広く確保できるメリットもあります。
2.浴室の広さや長さ・深さ
スペースに余裕がある場合は、浴室の広さを大きめに取りましょう。浴槽自体も、長さや深さに注意すべきです。
・介助者にとっても使いやすい広さか
・浴槽はまたぎやすい深さ(高さ)のものか
・浴槽は適切な長さか
最低限、介助者が動きやすいスペースが必要です。広さだけではなく、浴槽の深さ(高さ)や長さもチェックしてください。
介護者が自力でまたげる深さかつ、浴槽で溺れにくい長さを意識しましょう。長い浴槽は足を伸ばしてくつろげる反面、不注意で溺れてしまうおそれがあります。
3.浴室の段差
脱衣所から浴室への段差や、浴室内の段差を解消することも重要です。わずかな段差でも転倒のおそれがあるため、可能な限りフラットな状態にリフォームしましょう。
車椅子での入浴をサポートしてくれる設備も候補に加えておきたいところです。手すりの設置はもちろん、浴室すのこも車椅子での入浴の負担を軽減してくれます。
現在は自力で歩行できるという方も、浴室すのこを活用することで転倒防止になります。
4.浴室インターフォン
入浴中、同居家族が気付かないうちにトラブルが生じることもあるため、浴室から人を呼べる環境を整えておくことも重要です。
何かが起こったときのために、浴室インターフォンの設置も検討してみましょう。
メーカーによっては、お風呂用リモコンにインターフォン機能を搭載しているものも登場しています。浴槽やユニットごと一新する場合は、機能があらかじめ搭載されている機種の購入もおすすめです。
5.丸めのデザイン
浴槽や棚、蛇口など、角のあるところは転倒時に頭や体をぶつけてケガの原因となることがあるため、リフォームを機に見直しておきたいところです。
角部分を丸く加工しているデザインを選びましょう。見た目にも和らかな印象を与えてくれるため、リラックスできるお風呂に仕上がります。
6.手すり
バリアフリーの基本である手すりは、お風呂にも欠かせません。浴槽の両側に手すりを設置することで、浴槽から出るときに立ち上がりやすくなります。
また、浴室内で足を滑らせたり、ふらついたりした場合にも支えとなってくれます。
手すりの取り付けは、単純に手すりなら何でも良いというわけではありません。家族にとって握りやすい太さのものか、適切な位置にあるかを重視してください。
7.床材
床材選びもリフォームの重要なポイントです。乾きやすいものや滑りにくいもの、防カビ・防菌に優れた素材のものを取り入れると、掃除がしやすくなります。
昔ながらの浴室はタイルを敷き詰めたものが多く見られますが、冷たいタイルはヒートショックのリスクがあるうえに、滑りやすいことが特徴です。カビも生えやすいため、リフォームでの交換を検討しましょう。
8.暖房の設置
ヒートショックのリスクを下げるためには、各部屋の温度差をできる限り縮めることが重要です。部屋や脱衣所、浴室それぞれの温度の差が極端なものにならないよう、冷えやすい場所には暖房の設置をおすすめします。
リフォームで浴室周りの断熱性能を高めるほか、専用の暖房器具や設備を取り入れても良いでしょう。
9.介護用の椅子(シャワーキャリー)
通常の椅子とは別に、介護者専用の椅子を浴室に用意します。介護用の椅子はシャワーキャリーとも呼ばれる車椅子で、浴室で使用することを想定して開発されたものです。
湿気に強く、座ったまま動かすことができるなど、介助をサポートしてくれます。
10.バスリフト
浴槽の交換を避けたい方は、バスリフト(浴室内昇降機)を導入してはいかがでしょうか。大がかりな工事の必要なく、購入して取り付けるだけで使用できる介護器具です。
高さのある浴槽でも、椅子に座る用量でバスリフトに乗り、ボタンひとつで入浴することができます。(使用時は介助者のサポートが必要です)
貸し出しを行っている業者も存在するため、先にレンタルで使い心地を確認してから導入を検討しても良いでしょう。
介護・バリアフリー用のお風呂のリフォーム費用
お風呂のリフォームは、用途によって施工範囲や費用が大きく異なります。介護・バリアフリー用のために施工する場合は、工夫次第で安く抑えることも難しくありません。
最後に、お風呂のリフォーム費用について負担を軽減するコツを紹介します。
介護保険を利用してできる住宅改修
介護のためにお風呂など住宅内の設備をリフォームするのであれば、介護保険の活用がおすすめです。介護保険には、実際にかかった住宅改修費を最大20万円まで支給してくれる制度があります。
ただし「要介護・要支援認定を受けている方が対象」など条件が設けられているため、事前に自治体の担当者などに相談しましょう。
リフォームする部分で費用は大きく異なる
浴槽のみを新調するのか、脱衣所も含めて大がかりなリフォームを行うのかといった施工範囲によって、費用は大きく変動します。施工費用のほか、古い設備の撤去や追加オプションの費用なども必要です。
浴室の一部だけをリフォームする場合は10万円以下に収えられる場合も多く、必ずしも高額になるとは限りません。
まずはどの範囲をリフォームしたいのか明確にしてから、専門業者に見積もりを依頼しましょう。
お風呂のバリアフリー化やリフォームでお困りの方は、ぜひおうちの御用聞き家工房にご相談ください。数々のリフォーム実績と専門知識が豊富なスタッフの経験により、ご家族のライフスタイルに最適なお風呂をご提案します。
事前の現地調査をしっかりと行うため、ご要望に合わせて小規模から大規模まで幅広いリフォームに対応可能です。
まずはご自宅にて丁寧なヒアリングを行いますので、お気軽におうちの御用聞き家工房へお悩みをお聞かせください。
まとめ
お風呂場の介護リフォームは、介護が必要になる前に済ませておきましょう。介護が本格的に始まった後では、リフォームが必要になっても依頼できる時間や金銭の余裕を確保しにくいためです。
おうちの御用聞き家工房では、豊富な実績のもとさまざまなご提案を致します。リフォームでお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。