こんな場合は屋根の塗装を検討しよう!屋根材別にみる劣化症状
屋根といっても種類によって特色があり、傷み方なども異なります。
まずは屋根材ごとの特徴と劣化症状について紹介します。屋根の状態を確認するは安全なところから行うようにしてください。また、場合によっては専門の業者を呼ぶようにしましょう。
スレート屋根
瓦よりも軽量で耐震性が高く、工事費が安いことから人気のある屋根材です。日本の住宅では普及率が高く、用いられることが多いことからほとんどの業者は対応できるでしょう。
一般的な通称として「カラーベスト」や「コロニアル」、「ストレート瓦」とも呼ばれることがありますが、すべて同じ屋根の種類です。
見た目の特徴は、平坦な板を張り合わせたような形状で、色やデザインが豊富に選べるのも魅力といえます。
反対に、ほかの屋根材と比べると耐久性は低く、割れやすいです。そのため、メンテナンスは頻繁にする必要があるでしょう。
劣化すると、粉が表面に出てくるチョーキングや色あせが確認されます。そのほか、塗装の剥がれや反り返り、カビや藻が発生します。
屋根材の寿命は25年から30年とされていますが、表面の劣化を防ぐために塗り替えは8〜10年ごとに必要です。
また、5年に1度の周期で点検することが推奨されており、異常の早期発見と補修が大切になります。
セメント瓦(コンクリート瓦)
瓦のデザインが格安で取り入れられ、断熱性や防音性にも優れています。
しかし、重量があることでの耐震性の低さや粘土瓦よりも寿命が短く塗装も必要なデメリットもあり、現在はあまり使われていない屋根材です。
コンクリート製のものは「モニエル瓦」とも呼ばれ、費用を抑えて瓦を取り入れたい場合に適しますが、どちらもほとんど生産されておらず、対応できる業者は少ないかもしれません。
瓦の寿命は30年ほどで、劣化するとストレート屋根同様にチョーキングや色あせ、塗装の剥がれ、カビや藻が発生します。
塗り替えは8~10年ごとに必要で、異常が見つかれば点検やメンテナンスを行いましょう。
粘土瓦
日本家屋で使われる代表的な屋根で、製造方法によって「陶器瓦(釉薬瓦)」や「いぶし瓦」、「素焼き瓦」などに分けることができます。
耐用年数は50年以上と長く、趣のあるデザインが魅力ですが、断熱性や防音性が高く結露しにくい点もメリットです。
ただし、屋根材の中では費用が高くなりやすく、重量もあるので耐震性が低下する恐れもあります。劣化している場合は、漆喰やモルタルが劣化し割れなどが見られますが、塗装による補修は行えないため注意してください。
ほかの屋根と比べると塗り替えの手間がない分、頻繁なメンテナンスの必要はないため、コストよりも耐久性の高さを求める方にはおすすめです。
【屋根の種類別】屋根塗装の費用相場
屋根の塗装に用いられる塗料もさまざまで、コストや耐用年数など種類によって特徴が異なります。ここでは、一般的に使用されている塗料を3つに絞って紹介しましょう。
ウレタン系の塗料は、比較的安価で密着性も高いことから利用する方も多いです。しかし、耐候性は低く耐用年数は8〜10年とあまり長くはありません。
少しコストは上がりますが、シリコン系では耐用年数が10〜15年と長くなり、汚れや色あせにも強いという特徴があります。同じ種類の中にもグレードがあるため、塗料を選ぶ際は性能の違いにも注意が必要です。
フッ素系の塗料はさらに高価で、業者が取り扱っていない場合もありますが、耐候性が高く耐用年数が15〜20年と長くなります。
汚れや色あせに強いだけでなく光沢感が出るのが特徴です。ここからは屋根別に費用相場の違いを見ていきます。
スレート屋根の塗装の費用相場
・ウレタン系塗料:1,500~2,000円/㎡
・シリコン系塗料:1,800~2,500円/㎡
・フッ素系塗料:3,300~4,500円/㎡
坪数 | ウレタン系塗料 | シリコン系塗料 | フッ素系塗料 |
10坪 | 7〜10万円 | 8〜12万円 | 15〜22万円 |
20坪 | 14〜20万円 | 17〜25万円 | 31〜45万円 |
30坪 | 21〜30万円 | 25〜37万円 | 46〜67万円 |
40坪 | 28〜40万円 | 33〜50万円 | 61〜89万円 |
50坪 | 35〜49万円 | 42〜62万円 | 76〜112万円 |
60坪 | 42〜60万円 | 50〜74万円 | 92〜133万円 |
70坪 | 49〜70万円 | 58〜87万円 | 107〜160万円 |
80坪 | 56〜80万円 | 67〜100万円 | 122〜180万円 |
90坪 | 65〜90万円 | 80〜112万円 | 150〜200万円 |
100坪 | 70〜100万円 | 83〜124万円 | 152〜223万円 |
セメント瓦(コンクリート瓦)の塗装の費用相場
・ウレタン系塗料:1,800~2,000円/㎡
・シリコン系塗料:2,300~2,500円/㎡
・フッ素系塗料:3,100~3,500円/㎡
坪数 | ウレタン系塗料 | シリコン系塗料 | フッ素系塗料 |
10坪 | 7〜10万円 | 11〜12万円 | 14〜17万円 |
20坪 | 17〜20万円 | 21〜25万円 | 29〜35万円 |
30坪 | 25〜30万円 | 32〜37万円 | 43〜52万円 |
40坪 | 25〜40万円 | 43〜50万円 | 57〜70万円 |
50坪 | 45〜50万円 | 55〜62万円 | 72〜87万円 |
60坪 | 50〜60万円 | 64〜74万円 | 86〜104万円 |
70坪 | 58〜70万円 | 70〜87万円 | 107〜121万円 |
80坪 | 67〜80万円 | 85〜100万円 | 115〜140万円 |
90坪 | 75〜90万円 | 96〜116万円 | 144〜160万円 |
100坪 | 83〜100万円 | 107〜124万円 | 152〜174万円 |
各工程の費用相場
屋根の塗装作業には、塗料だけでなく各工程でもコストがかかります。そのため、最終的な費用としては、これから紹介する工程別の料金相場を参考にして割り出す必要があるでしょう。
足場の設置
屋根に上がって作業するため、足場の設置は塗装の際には必要です。費用相場は800円/架㎡程度で、「架㎡」は足場の面積を表しています。
費用の概算は、次の計算で足場架面積を割り出すことで簡易的に把握することができるでしょう。
【足場架面積=(家の外周+8m)×高さ】
屋根塗装の全体コストの中で約20%を占めるとされており、多くのケースでは足場専門の業者に依頼して施工と解体が行われます。
屋根の洗浄
塗装をする前には、外壁についた汚れを落として塗料がしっかりと付着できるようにしなければなりません。汚れが残っていると、耐久性が低くなり早い段階で剥がれる可能性があります。
高圧洗浄を実施するのが一般的で、費用相場は200円/㎡程度です。費用の計算方法としては、外壁と屋根の面積に費用単価を掛けたものが施工の金額になります。
下地調整
主にサビ落としやケレン作業が実施され、洗浄だけでは落としきれない屋根の表面部分をフラットにする工程です。
汚れと同様に、下地が整っていないと塗料の効果が十分に発揮されないため、入念に確認しながら作業を進めていく必要があります。
費用相場は550円/㎡程度ですが、ひび割れなどが発生していた場合には、同時に補修作業も追加して行わなければなりません。
劣化しやすい屋根材は、塗装前に下地調整が必要なので、劣化状態によって金額は大きく変わることを覚えておきましょう。
塗装作業
塗装作業といっても、具体的には下塗りと仕上げ塗りに分かれています。
下塗りではサビ止めなどが行われ、以前使われていた塗料の色が、塗り直す色を邪魔しないようにすることや、密着性を高めるために必要な工程です。
仕上げ塗りは、さらに中塗りと上塗りに分かれていますが、見積もりとしてはひと括りにされる場合が多いでしょう。
塗装作業には塗料の費用も含まれ、塗料の種類によって金額は異なります。詳しくは後述します。
縁切り作業
縁切り作業とは、塗装後にカッターなどを使って屋根と屋根の間に隙間をあける工程です。隙間をあけなければ、この部分に水が溜まって雨漏りの原因になります。
最近では、縁切り作業の代わりに、屋根と屋根の間にタスペーサーと呼ばれる部材を差し込んでから塗装をして、塗装で隙間が埋まらないようにする方法もとられます。
どちらもスレート屋根にのみ必要な作業です。見積もり時には、縁切り作業またはタスペーサー費が計上されていることを確認しましょう。
縁切りの費用相場は300/㎡程度ですが、状況によっては手間や時間が必要になり、コストが上乗せされる可能性もあります。
タスペーターを使用する場合は作業効率も上がりますが、600円/㎡程度と相場としては、やや割高です。
諸経費
諸経費には、現場管理費や廃材処理費、交通費、事務手数料などが含まれます。この部分は業者によって金額はさまざまです。
工事総額の10%程度が相場とされており、すべての内容を書き出すと複数の項目が必要となり見積もりも細かくなるため、基本的には「一式」の費用として記載されていることが多いでしょう。
一般的な2階建住宅のスレート屋根の場合、各工程の費用相場は以下のとおりです。
屋根の塗装費用は依頼内容で変わる!
屋根のリフォームをする際は、全体修復をするのか一部分だけ修繕するのかをまずは選ばなければなりません。次に目的にあった工事方法を選びます。屋根全体のリフォームには、次の4つの工法があります。
工法1.葺き替え
葺き替えは、屋根全体の修理が目的です。土台からすべて工事し直して、屋根材もすべて交換します。損傷が激しく全体に問題がある場合に用いられる工法です。その分、修理費用も高額になります。
工法2.葺き直し
葺き直しは、下地の修理が目的です。屋根材を一度外して土台を工事したあとに、これまで使っていた屋根材を再び敷き直します。新しい屋根材を購入する必要がないので、葺き替えよりも費用は抑えることが可能です。
工法3.カバー工法
低予算で全体の修理をしたい場合は、カバー工法が適しています。カバー工法とは、今の屋根をそのままに、上から新しい土台と屋根材を重ねる工事方法です。葺き替えをしたいけれど十分な費用がないときに向いている工法です。
工法4.塗り替え
土台と屋根材をそのまま利用し、屋根材を塗装する工法です。塗り替えは、メンテナンスが目的で、塗装がはげた部分から劣化が進行しないように予防します。また「美観を良くする」という目的もあります。費用は最も安くできます。
ここまでは屋根全体のリフォームですが、屋根材や土台の一部が損傷している場合は、その部分だけを解決する部分修繕を行います。
安くするには…?費用を抑える2つの方法
屋根の塗装費用は安いものではないので、「できるだけ費用を抑えたい」と考える方もいるのではないでしょうか。ここからは、塗装費用を抑えるポイントを紹介します。
相見積もりをする
同じ内容の屋根塗装を依頼しても、業者によって費用は異なります。
相場費用を知り値段交渉の参考にするためにも、複数の業者から見積もりを出してもらい比較するようにしましょう。
とはいえ、見積もり先が多すぎてしまうと、それぞれの対応が大変になります。3~5社程度を目安にすると良いでしょう。
助成金・補助金を活用
2020年現在、屋根の塗装に対して国からの助成金制度はありません。しかし自治体であれば、市区町村によっては屋根の塗装に助成金や補助金が出ることがあります。
現在住んでいる地域に活用できる制度がないか確認してみましょう。全国平均としては、屋根のリフォームに10~20万円ほどの補助が出ます。
屋根塗装で助成金を受けられる制度には、大きく分けて「省エネリフォームに対する助成金・補助金」と「一般的なリフォームに対する助成金・補助金」の2種類があります。
・省エネリフォームに対する助成金・補助金…省エネリフォームに対する助成金・補助金は、首都圏で多く見られます。ヒートアイランド現象を防止するために遮熱塗料を使用するなど、環境に配慮したリフォームに関して補助が受けられます。
・一般のリフォームに対する助成金・補助金…一般のリフォームに対する助成金・補助金に関しては、条件は自治体によってさまざまです。若年世帯や子育て世帯など対象者に関する要件のほか、市内に事業所がある業者への依頼、一定金額以上の改修費など、細かい条件があるので自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
※ヒートアイランド現象とは都心部の気温が周りの郊外に比べて高くなる現象のこと。健康に悪影響があるといわれています。
「うちの屋根はどれくらいかかるのかわからない…」という場合でも、無料にて調査・見積もりを行います。最短即日でお家にお伺いいたしますので、いつでもお気軽にご連絡ください。
まとめ
スレート屋根の塗装にかかる費用は、一般的な住宅で40~60万円が相場です。業者によって金額は異なるので、複数の業者に見積もりしてもらうと良いでしょう。
塗料のグレードによって塗装費用は変わります。高グレード塗料は耐久年数が長いので、結果としてコストパフォーマンスが良い結果になります。
屋根の塗装がはげてしまうと、みすぼらしく見えてしまうなど見た目が悪くなってしまいます。今回記事で紹介した内容を参考に、信頼できる業者へ施工を依頼してみてください。