屋根のソーラーパネルの廃棄は慎重に!

ソーラーパネルには、リサイクル可能な金属やガラスが含まれています。使用済みの古いパネルや故障して使えないパネルでも、ゴミではなくリサイクル資源です。
貴重な資源を有効活用するために、環境省では、使用済み太陽光発電設備のリサイクルを推進するガイドラインを策定しています。古いソーラーパネルを撤去して廃棄する際は、ルールにしたがって処分することが大切です。
太陽光発電設備には、次の部品が含まれます。
・ソーラーパネル(モジュール)
・架台レール
・ケーブル
・パワーコンディショナー
・集電盤モニター
・取り付け金具
それぞれの廃棄物の区分をみていきましょう。
出典:
「太陽光発電設備を廃棄処理する際の留意点について」(環境省)
「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」(環境省)
屋根のソーラーパネルは「産業廃棄物」
屋根に設置するソーラーパネルは、産業廃棄物です。種類としては金属くず・ガラス・コンクリート・陶磁器くず・廃プラスチック類の混合物に該当します。鉛・セレン・カドミウムなどの有害物質を含むため、自治体のゴミ処分場に持ち込めません。
古いソーラーパネルは廃棄費用を支払い、専門の廃棄業者に処分を依頼する必要があります。不法投棄をしたり、資格のない業者に引き渡したりすると法違反に問われるので、気をつけましょう。
パネルの架台や電機機器は「一般廃棄物」
ソーラーパネル以外の架台レール・ケーブル・パワーコンディショナー・集電盤モニター・取り付け金具などは、一般廃棄物に該当します。個人として処分する場合は粗大ゴミに出せるので、お住いの自治体に相談して廃棄してください。
処分を業者に依頼するなら、設備をそのまま引き渡せば良いため簡単です。パワーコンディショナーやケーブルなどが再利用できる状態なら、買い取ってもらえる可能性もあります。
一方、売電メーターは契約する電力会社の管轄です。電力会社への引き渡しになり、処分費用は発生しません。
屋根のソーラーパネルを撤去するのはどんなとき?
住宅の屋根に設置されているソーラーパネルは、次のような事情が発生したときに撤去が必要になります。
1.故障や不具合で太陽光発電設備が寿命を迎えた場合
2.住宅の建て替え・リフォーム・解体する場合
3.事故や災害でソーラーパネルが破損した場合
撤去の原因によって設備の処分の仕方が異なるので、確認していきましょう。
パターン1.故障や不具合で太陽光発電設備が寿命を迎えた場合
太陽光発電設備が故障し、修理を検討したうえで撤去するケースです。メーカーが定める設備寿命は20~30年が一般的で、国税庁では法定耐用年数17年として固定資産の減価償却費の計算を行っています。
ソーラーパネルの故障が疑われるときは、原因によって対処法が異なるので注意してください。
製品不良が原因で不具合が生じているときは、メーカーに連絡する必要があります。ほかの原因が考えられる場合は、施工会社か販売会社に連絡して対処してもらいましょう。
出典:「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」(国税庁)
パターン2.住宅を建て替え・リフォーム・解体する場合
発電が正常にできるソーラーパネルを設置した住宅を撤去するケースです。設備の処分責任は、建て替えや解体を行うハウスメーカー、リフォーム業者にあります。
住宅の解体にあわせて業者がソーラーパネルを屋根から撤去し、引き取ったのちに、マニフェストとともに廃棄物処理業者に引き渡されて廃棄されます。
パターン3.事故や災害でソーラーパネルが破損した場合
単なる故障や不具合ではなく、地震・落雷・台風などの突発的な自然災害や事故などが原因でソーラーパネルが落下、破損して撤去を余儀なくされたケースです。
住宅の屋根に設置したソーラーパネルを個人的に撤去するのは、容易ではありません。とはいえ、偶発的な事情でソーラーパネルが落下した際は、家主が個人として処分できます。
とくに、自然災害に起因する災害廃棄物に該当する場合は、ソーラーパネルでも法律上は一般廃棄物として廃棄できます。粗大ゴミとして業者を介さずに処分できるため、自治体に相談して廃棄しましょう。
ただし、個人がソーラーパネルの撤去や運搬を行う際は、感電や破損による怪我、水漏れ、立入の防止に留意しなければなりません。故障していても感電する危険があるため、ソーラーパネルの処分は専門の業者に依頼するのが賢明です。
屋根のソーラーパネルを撤去するのにかかる費用
住宅の屋根に設置したソーラーパネルの撤去費用は、発電規模やモジュールの数、設置方法によって異なります。契約前に見積りをとって確認しましょう。パネル1枚で撤去費用を算出する業者や、発電設備の全体一式で算出する業者などさまざまです。
10kw以下の一般家庭の発電規模なら、撤去費用は10万円前後が目安です。一般的に、撤去費用には次の項目が含まれます。
・調査費
・事務費
・足場料
・工事費
・工事車両費
・交通費
・清掃にかかる雑費 など
撤去費用のほかに、設備の処分費用や運搬費用も別途かかります。家庭用の発電設備であれば、運搬や処分費用に5万円前後かかると考えてください。
ただし、ソーラーパネルの撤去にかかる費用は時代によって変動します。実際に設備が寿命を迎える10〜20年後の費用は予測がつかないため、将来への備えが必要です。
屋根のソーラーパネルの運用・撤去時に知っておきたい制度
一般家庭の太陽光発電設備は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」により2012年から推進されてきました。当時から寿命を迎えた設備の撤去に備える必要性が指摘されており、電気の買い取り価格は廃棄費用の積立分を含めて高めに設定されています。
しかし、実際に廃棄費用を積み立てしている事業者は少ないのが実情です。そこで、今後増える撤去に備えるために、2022年7月から「太陽光発電設備の廃棄費用の積立制度」がスタートしました。
太陽光発電設備の廃棄費用の積立制度は、売電収入から廃棄費用を差し引き、外部積立を義務化する制度です。一定の要件を満たせば内部積立ても可能で、寿命を迎えた太陽光発電設備の放置、不法投棄を防ぐことを目的としています。
制度の対象となるのは、発電規模10kw以上の事業者です。一般家庭の小規模事業者の場合は、自ら撤去費用をプールしておく必要があります。
出典:
「FIT・FIP制度|よくある質問」(経済産業省)
「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について」(経済産業省)
屋根のソーラーパネルを撤去する際の注意点
ソーラーパネルの撤去作業には足場を組まなければならず、高所作業は危険をともないます。安全を確保するためには電気関連の専門知識も必要なので、古いソーラーパネルを撤去する際は、専門業者に依頼するのがおすすめです。
費用はかかるものの、自分で廃棄物の処理をしなくて良いぶん負担を減らせます。ソーラーパネルの撤去を業者に依頼するポイントは、次のとおりです。
・太陽光発電設備の撤去実績の高い業者を選ぶ
・相見積りをとって比較する
それぞれ詳しく解説します。
太陽光発電設備の撤去実績の高い業者を選ぶ
古いソーラーパネルの撤去は専門性の高い作業なので、業者の実績を確認して、太陽光発電の案件を多く扱う施工会社を選ぶことが大切です。作業数が多いぶん費用を抑えてサービスを提供している業者もいます。
また、産業廃棄物の処理業者と連携している専門業者もあります。撤去から処分までワンストップで依頼できるため、使用済みのソーラーパネルをスムーズに処理することが可能です。
相見積りをとって比較する
太陽光発電設備を撤去するには大きな費用がかかります。2~3社の業者に声をかけて相見積りをとり、納得できる価格の業者を選びましょう。相見積りをとって比較すると費用の中央値が明確になり、適正価格で撤去できます。
撤去にかかる費用は業者ごとに異なるため、金額の安さにだけ注目するのではなく、見積りの内訳まで確認することが大切です。価格設定の仕方は業者によってさまざまなので、総費用で比較しましょう。
まとめ
ソーラーパネルには寿命があり、壊れた場合は廃棄物として処分する必要があります。部品によって産業廃棄物と一般廃棄物にわかれるため、なるべく撤去実績の高い業者を選び、確実な処分を行いましょう。




