雨樋は家を守る大切な設備
雨樋は、屋根に降り注いだ雨水を集めて、建物の外に排出する役割があります。もし雨樋がなければ、屋根に溜まった雨水は外壁をつたって流れてしまいます。外壁は通常量以上の雨水に触れ続けるため、住宅の腐食が進行する原因となるのです。
ほかにも、雨樋が雨水を集めて適切に排水できなければ地面に直接流れるため、水撥ねの原因となります。撥ねた水は外壁だけでなく、建物の基礎部分に当たり、湿度の上昇によるカビや苔の発生、増殖など、さまざまな悪影響を及ぼします。
本来であれば、軒先(屋根)が外壁や建物の基礎部分よりも外側に出ているため、雨樋があれば外壁や建物の基礎部分に雨水が大量に触れない構造になっています。
雨樋を付けるために必要な道具や材料
雨樋を取り付けるために必要な道具や材料を紹介します。取り付けを行う前に、必要な物が揃っているか確認しましょう。
必要な道具
雨樋を取り付けるために必要な道具は、以下のとおりです。
・電動ドライバー
・パイプカット用ののこぎり
・雨樋用の接着剤や補修テープ
・屋根の高さまで届く脚立
パイプカット用ののこぎりとは、塩化ビニル管や銅管などをカットする用ののこぎりです。一般的なのこぎりを使用すると、刃に負荷がかかりすぎてうまく切ることができないため、専用ののこぎりを使って切断します。また、雨樋用の接着剤や補修テープは、ホームセンターでも販売されているため、事前に準備しておきましょう。
必要な材料
雨樋を付けるために必要な材料は、以下のとおりです。
・横樋(よこどい)
・堅樋(たてどい)
・接続用パーツ
・雨樋の金具
・コーキング剤
横樋とは、屋根に降り注いだ雨水を溜めて堅樋に流す部品のことです。堅樋に流れた雨水は、屋根から地面へ向かって垂直方向に流れるように設計されています。横樋や堅樋の素材は塩化ビニル樹脂製や銅製、ガルバリウム鋼板製、ステンレス製、トタン製の5種類です。各素材の特徴は、以下のとおりです。
塩化ビニル樹脂製 | 軽くて運びやすく、簡単に組み立てられる。 |
銅製 | 金属のなかで軽量、かつ加工がしやすい。錆びにくいため、雨樋にも使用できる。 |
ガルバリウム鋼板製 | 耐久性や耐候性が強く、長持ちしやすい。 |
ステンレス製 | 耐久年数が長く、サビが発生しにくい。 |
トタン製 | 軽量で加工がしやすい。ただし、ガルバリウム鋼板製が普及したことで、現在はあまり使用されていない。 |
接続用パーツとは、横樋や堅樋をつなげるための部品のことで、住宅に合わせて適切な物を使用します。雨樋用の金具とは、雨樋を建物に固定する際に使用する部品のことです。ただ固定するだけではなく、スムーズに雨水が流れるように適切な勾配で設置するのがポイントです。
また、コーキング剤とは、隙間を埋めるために使用する材料のことで、シリコンなどでできています。
雨樋の金具の名称
ここでは、雨樋を設置する際に必要となる金具について解説します。
横樋
横樋とは、屋根の縁に沿うように雨樋を設置する際に使用する雨樋のことです。 屋根にある「鼻隠し(垂木などの構造材を隠す役割をもつ板)」を利用して取り付けます。横樋の固定方法は、以下の3種類に分けられます。
打ち込みタイプ
打ち込みタイプとは、鼻隠しの下地となっている垂木に金具を打ち込む方法のことです。垂木に直接金具を打ち込むため、垂木の位置を下調べしたうえで固定します。
正面打ちタイプ
正面打ちタイプとは、鼻隠しの正面から金具を打ち込む方法のことです。設置しやすいものの、金具が見えるため丁寧に作業を行う必要があります。
横打ちタイプ
横打ちタイプとは、打ち込みタイプや正面打ちタイプが使用できないときに利用する方法のことです。垂木に直接ビスを打ち込んで固定します。
縦樋
縦樋は、流れてきた雨水を下方に流すために縦向きに取り付ける金具のことです。縦樋の固定方法は、以下の2種類です。
打ち込みタイプ(でんでん)
打ち込みタイプとは、外壁に直接金具を打ち込んで固定する方法のことです。外壁に穴を開けるため、雨水が金具を伝って侵入しないように傾斜に注意しながら設置します。
トンボ
トンボとは、外壁に面する部分が平らになっている金具のことです。平らになっている部分をビスで固定して使用します。
雨樋の取り付け方
雨樋を取り付ける際の手順は、以下のとおりです。
1.材料や道具を用意する
2.足場を設置する
3.横樋の金具を取り付ける
4.横樋と集水器を取り付ける
5.縦樋と金具を取り付ける
それぞれの手順について解説します。
1:材料や道具を用意する
まずは、雨樋の取り付けに必要な材料や道具を準備しましょう。道具や材料は、建材や資材を取り扱う大型のホームセンターや通販サイトで購入できます。
また、雨樋のサイズは、今取り付けられている雨樋と同じものを準備すれば問題ありません。
2:足場を設置する
材料や道具の準備ができれば、足場を設置しましょう。脚立やはしごがあれば作業できるものの、高所での作業は危険が伴うため、業者に依頼して足場を設置してもらうのがおすすめです。
雨樋の交換部分が5mを超える場合や、隣家が接近しているために安全な作業場所を確保できない場合は足場を設置しましょう。作業場所が1階部分であったり、安全に作業できるスペースがあったりすれば、足場がなくても雨樋を設置できます。
3:横樋の金具を取り付ける
雨樋を設置するために必要な金具を取り付けましょう。雨樋は屋根に溜まった雨水を流すことが目的であるため、集水器に向かって勾配を付けながら設置しなければいけません。
また、金具同士の間隔が広ければ、雨樋が落下するおそれがあるため、1mを間隔の目安として設置しましょう。ただし、雪や風の影響を受けやすい地域であれば、45~60cm間隔で設置するのが一般的です。住んでいる地域の天候を考慮しながら、適切な間隔で金具を固定します。
4:横樋と集水器を取り付ける
先ほど取り付けた金具に、横樋と集水器を取り付けましょう。縦樋を付ける位置には丸い穴を空けておきます。また、建物によって必要な雨樋の長さが異なるため、不要な部分はのこぎりで切り落としたり、足りない部分は注ぎ足したりして調整します。
なお、雨樋や接続用パーツを取り付ける際は、雨樋用接着剤をもちいて固定しましょう。
5:縦樋と金具を取り付ける
横樋と集水器を取り付けたら、縦樋と金具を取り付けましょう。まず、金具を外壁に取り付けて固定します。屋根と外壁の間が離れている場合は、呼び樋を利用して集水器と縦樋をつなげます。その後、縦樋を金具に固定したら完成です。
DIYで雨樋を取り付ける際の注意点
ここでは、DIYで雨樋を取り付ける際の注意点を解説します。
付け替える際は外した穴を必ずコーキング剤で埋める
雨樋を付け替える際、古い留め具を外したときにできた穴にはコーキング剤を埋めましょう。穴をそのまま放置しておくと、外壁の劣化や破損の原因となるためです。そのため、穴をコーキング剤で塞いでおき、外壁を守ります。
また、古い留め具を外した穴に、新しい金具を設置するのは避けましょう。同じ穴を使用すると、金具と穴の隙間から雨水が侵入しやすくなるため、雨漏りの原因となります。
なお、コーキング剤と外壁の色が合わない場合は、後から塗装するのがおすすめです。
雨樋の取り付けは無理せずプロに頼む
雨樋の取り付けに不安がある方は、無理せずにプロに頼りましょう。基本、雨樋の設置は高所での作業となるため、危険を伴う可能性があります。
業者に依頼する際は、なにかあればすぐに駆けつけてくれる地域密着型の業者がおすすめです。おうちの御用聞き家工房であれば、家に関する相談のほか、電話1本で最短即日に駆けつけるので、緊急事態でも安心できます。
まとめ
雨樋は、屋根に降り注いだ雨水を地面や地下に排水する役割があり、住宅を守るために重要な設備です。雨樋がなければ、外壁の劣化やカビの発生につながるため、歪みや破損を見つけた場合は、すぐに修理しましょう。
雨樋は必要な材料や道具を揃えれば自分で交換できるものの、高所での作業も含まれるため、無理せずにプロに頼るのもおすすめです。地域密着型の業者であれば、急なトラブルでも安心して任せられます。