【自然と暮らす】屋根を緑化するメリット・デメリット

自然と調和したおしゃれな家に住みたいなら、屋根を緑化するのも選択肢のひとつです。屋根に緑を植えるのはリフォームでも可能で、ヒートアイランド現象や雨水流出対策になります。とはいえ、屋根の緑化にはデメリットもあるため、慎重に検討しましょう。 今回は、屋根や屋上に植栽するメリットとデメリットを解説しながら、緑化する際の注意事項を紹介します。


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屋根の緑化とは?リフォームできる?

屋根の緑化とは、住宅の屋根や建物の屋上部分に土を入れて、植物を植えることです。「屋上庭園」「草屋根」とも呼ばれていて、取り入れる商業施設やビルが増えています。

屋根の緑化は、一般住宅やリフォームでも可能です。人気になった背景や工法を解説します。

屋根の緑化が進む背景

屋根の緑化が増えている背景には、地球温暖化やヒートアイランド現象の問題があります。都市部では排熱や人工的な構造物が増えたために気温が上昇し、環境や私たちの生活にまで被害を及ぼしているのです。

気温の上昇や高温域の拡大を抑えるには、自然を増やす必要があります。露出した地面が少ない都市部で緑を増やすために注目されているのが、建物の屋根や壁面を活用した緑化です。

植物の育成に必要な太陽光を直接浴びられる屋根は緑化に適しており、都市景観を改善し、雨水流出を防ぐのにも役立ちます。都市景観を良くすることは経済効果にもつながるため、環境省や国土交通省でも屋根の緑化を推奨しており、各自治体も助成金制度を設けています。

屋根を緑化する方法

屋根を緑化するには、以下の方法が挙げられます。

・住宅新築時にプランを組み込む
・すでにある建物の屋根や屋上をリフォームする
・屋上を増設して緑化する

本格的な屋根の緑化には、防根層・保水排水層・フィルター層などを含む緑化基盤を設置し、土壌を重ねる工法が一般的です。

近年では、緑化基盤と土壌をセットしたユニットや、緑化マットで簡単に施工できる業者も増えています。また、屋根の斜面に植物を植える工法もあります。

屋上に鉢やプランターを置くだけなら、DIYの範囲で緑化が可能です。屋上はリフォームで増設できるため、建物やライフスタイルにあわせて無理なく導入できる方法を検討しましょう。

住宅の屋根を緑化するメリット

一般住宅の屋根を緑化するメリットは、次のとおりです。

1.省エネにつながる
2.屋根・建物を保護できる
3.CO2削減・環境対策に取り組める
4.住宅の見栄えが良くなる
5.生活が楽しくなる

それぞれ詳しく解説します。

メリット1.省エネにつながる

水分を豊富に含む土や植物が屋根にあると、水分の蒸散により気温の上昇を抑える効果が期待できます。屋根にあたる直射日光をさえぎるため遮熱効果も高く、エアコンの使用量が減って電気代の節約になるため、家計のコスト削減に有効です。

メリット2.屋根・建物を保護できる

屋根は、建物劣化の原因となる紫外線・酸性雨・豪雨などに常にさらされています。土壌や植物は過酷な環境から屋根を守る役割を果たし、急激な温度変化による膨張や縮小による破損を防ぐ効果が期待できます。

メリット3.CO2削減・環境対策に取り組める

一般家庭は、多量の二酸化炭素を排出しています。屋根を緑化する面積が大きいほどヒートアイランド現象の緩和ができ、家庭から地球温暖化対策に取り組めます。

メリット4.住宅の見栄えが良くなる

緑にあふれる住宅は、おしゃれで見栄えが良いのも魅力です。屋根が植物で覆われた景観はまだ珍しく個性的で、住宅街のなかでも目を引きます。

メリット5.生活が楽しくなる

植物は空気を浄化するはたらきがあり、緑や自然は癒しの空間作りに役立ちます。屋上に庭を作れば家族でガーデニングが楽しめて、子育て世帯は食育や環境対策の教育に活用できます。

住宅の屋根を緑化するデメリット

逆に、屋根の緑化には次のデメリットがあります。

1.建物が傷む可能性がある
2.維持管理に手間とコストがかかる
3.虫が発生しやすくなる

それぞれを詳しくみていきましょう。

デメリット1.建物が傷む可能性がある

土壌や植物は水分を多く含むため重量があり、屋根・柱・壁にダメージを与えるおそれがあります。住宅の歪みや雨漏りを引き起こす原因になりやすいため、耐荷重を考慮した構造計算のやり直し、防水処理などの対策が必要です。

また、屋根で繁殖した植物の根が建物に入り込むリスクもあるため、メンテナンスが欠かせません。

デメリット2.維持管理に手間とコストがかかる

屋根で植物を育てるには、継続して水やり・芝刈り・剪定・施肥・収穫・植え替え・落ち葉集めなどのお手入れが必要で、手間がかかります。手入れを怠ると見栄えが悪くなり、住宅が傷んだり近隣住宅に迷惑をかけたりしてしまいます。

また、水道代や肥料代などのメンテナンスにかかる費用も膨大です。緑化にかかるランニングコストも、導入時にしっかり確保しておく必要があります。

デメリット3.虫が発生しやすくなる

土や植物のある場所には、虫が発生します。屋根を緑化すると家の中に虫が入ってくるリスクが増えるため、虫嫌いの方には不向きです。密集した住宅街だと、害虫が近隣住宅に入り込むこともあるので、立地も考慮する必要があります。

屋根の緑化にかかる費用

屋根の緑化にかかる費用は、面積や工法によってさまざまです。緑化基盤を入れる場合は、1坪あたり8~10万円の費用が目安と考えましょう。土壌・植栽・プランター・パーゴラなど、ガーデニング費用も別途かかります。

木造住宅をリフォームして緑化する場合は、屋根の防水処理、排水路の増設を含む水回りの設備費が必要です。一方、既存の屋上に鉢やプランターを置くだけなら、資材費だけで緑化できます。

費用が負担なら、自治体の助成金制度の利用を検討しましょう。適用条件や限度額は自治体ごとに異なるため、施工前に確認する必要があります。

屋根を緑化する際の注意点

屋根を緑化する際の注意点は、次のとおりです。

・屋根の緑化は計画的に進める
・屋根を緑化する目的を明確にする
・近隣への影響に気を配る
・緑化の実績のある業者を選ぶ

緑化した屋根は簡単に撤去できません。失敗や後悔を防ぐためにも、慎重に導入を検討することが大切です。

屋根の緑化は計画的に進める

屋根に乗せられる土壌や植栽の量には限界があるため、理想のイメージで緑化に取り組むと後悔しやすくなります。積載荷重の条件や排水整備、維持管理の仕方を考慮したうえで、建物を傷めない範囲で計画しましょう。

家庭でDIYできる範囲のプチリフォームでも、重量計算や屋根の防水処理、排水設備の整備が必要です。導入費用とランニング費用も含めた資金計画を立てておきましょう。

屋根を緑化する目的を明確にする

計画を立てる際は、緑化した屋根に何を求めるのかを明確にする必要があります。美しい花木を植えて癒されたい、家庭菜園をしたい、グランドカバーを導入して子供の遊ぶスペースを作りたいなど、緑化の目的はさまざまです。

目的によって緑化に適する植物が決まり、屋根に設置する土壌の種類、厚さが変わってきます。手軽な屋根の緑化なら芝や苔などのグランドカバーで十分です。より本格的にしたいなら、花木を植えます。完成後の姿や生活をイメージして決めましょう。

植栽の種類を限定している自治体もあるので、助成金制度を利用する場合はあわせて確認が必要です。

近隣への影響に気を配る

屋根の緑化では、まわりへの配慮も求められます。とくに、以下の問題は近隣トラブルに発展しやすいので注意が必要です。

・害虫の発生
・落ち葉の散乱
・水やり時の飛散
・強風時の飛来物
・騒音

トラブルを防ぐためにも、近隣住民との良好な関係を築いておきましょう。

緑化の実績のある業者を選ぶ

本格的な屋根の緑化は、専門の業者に依頼することが重要です。重量をもとに構造計算をしてもらえば、建物が傷みにくく長期間使える屋上庭園が作れます。住宅新築時に導入する場合は、早い段階で業者に施工できるか確認しておきましょう。

屋根を緑化する実績の高い業者を選ぶのが、成功のポイントです。施工だけでなく、導入後のメンテナンスについても相談できる業者なら安心できます。

屋根の緑化には費用がかかるため、契約前に見積りをとり、総費用を確認して検討する必要があります。複数の業者から相見積りをとると相場がわかり、余計な費用を抑えられるのでおすすめです。

まとめ

屋根の緑化は環境省や国土交通省が推進していて、商業施設やビルの屋上でも取り入れられてきました。一般的な住宅に導入する場合は、植栽を含めた重量計算や屋根の排水対策が必要なので、信頼できる施工会社に相談しましょう。屋根の緑化をする際は、継続的なメンテナンスが欠かせません。自治体の助成金制度も活用して、快適な居住空間を作りましょう。