屋根材ごとの耐用年数の目安
まずは、屋根の耐用年数を屋根材ごとに確認していきましょう。
スレート屋根
スレートとは、セメントを主原料とする屋根材です。価格が安くて軽いため、瓦の代用品として使われてきました。かつてはアスベストを混ぜ合わせていましたが、2006年にアスベストの仕様を禁止されてからは、アスベストが含まれていないスレートが流通しています。
耐用年数は15~25年ですが、塗装が剥がれてくると耐水性が下がるため、7~8年ごとに塗り直しが必要です。
そのまま放置すると、雨水がスレートの下にあるルーフィング(防水シート)や野地板(下地)、垂木に染み込み、腐食する恐れがあります。スレートが色あせていたり、苔が生えていたりしたら、塗り直しのサインです。
ただし、スレートが割れていたり、欠けていたりすると、塗り直しても本来の性能を発揮できません。カバー工法といって既存の屋根材の上に新しい屋根材を張ったり、屋根全体を葺き替えたりすることになるでしょう。
その際に使われる屋根材は、同じスレートよりもガルバリウム鋼板が主流になりつつあります。
トタン屋根
トタンは、亜鉛のメッキをした鋼板を加工した屋根材です。価格が安くて軽く、雨漏りしづらいというメリットがあります。雪が積もっても滑り落ちやすいため、北海道では瓦やスレートよりもなじみ深いです。
耐用年数は10~20年ですが、塗装が剥がれるとサビができて穴が空き、雨漏りする恐れがあるので、10年前後を目安に塗り直すのが望ましいでしょう。耐用年数を過ぎたら、野地板や垂木が劣化する前に、カバー工法でリフォームするのがおすすめです。スレートと同じく、新しい屋根材にはガルバリウム鋼板が使われます。
瓦
瓦は、粘土質の土を成形して焼成したものです。耐用年数が50~80年と長く、ほかの屋根材と違って塗装によるメンテナンスは必要ありません。耐火性や耐水性、防音性も優れています。一方で重さがあり、耐震性は低いのが欠点です。初期費用も、ほかの屋根材より高額になります。
近年はセメントを原材料とした瓦も増えており、色や形状の自由度が高いところが魅力です。本物の瓦と違って、そのままでは耐水性が低いため、10年前後を目安に塗装を塗り直すメンテナンスが求められます。
本物の瓦も「葺き直し」といって、20~30年ごとに全部外して、その下にあるルーフィングの交換が必要です。ほかにも、飛来物によって瓦が割れたり欠けたりしたときは、その都度、新しい瓦と交換しなければいけません。瓦同士の隙間を埋める漆喰が剥がれたり崩れたりしたときも、塗り直して埋め合わせます。
耐用年数を過ぎると、引き続き新しい瓦で葺き替えるのが一般的です。耐震性を高めるため、屋根材をガルバリウム鋼板に変える場合もあります。カバー工法は、作業が難しいのと、屋根の重さがますます増えてしまうため、あまり現実的ではありません。
波板(ポリカーボネート製のもの)
波板は、その名のとおり波状に加工された板で、原材料はトタンや塩化ビニル、ポリカーボネートなどです。住宅よりも倉庫や物置、ベランダ、カーポートなどの屋根材として使われています。
耐用年数は5~10年と短く、部分的な補修はできません。板ごとの張替えとなります。近年は熱線をカットしたり、耐火性を高めたりしたものがあるので、修理を機に取り入れてみると良いでしょう。
【費用】屋根修理の種類ごとの目安
続いて、屋根の修理の種類別に、どれくらいの費用がかかるのか見てみましょう。
屋根の葺き替え
屋根の葺き替えをするときは、古い屋根材とルーフィングを外して、野地板や垂木を補修し、その上に新しいルーフィングと屋根材を張るというのが基本の流れです。
新しい屋根材を購入したり、それを施工したり、野地板や垂木を補修したり、古い屋根材を廃棄したりするための費用がかかります。ほかにも、足場代や養生にかかる費用、運搬費などが必要です。
これらをトータルすると、平均的な約30坪の住宅で、100~250万円くらいかかります。新しい屋根材は、スレートが安く、ガルバリウム鋼板は少し上乗せされるくらいで、瓦は高額です。
また、古い屋根材(特にスレート)にアスベストが含まれている場合は、除去と廃棄だけで数十万から数百万円の費用がかかります。飛散を防ぐため、法令に従って除去・廃棄しなければいけないからです。
工期は2週間が目安ですが、瓦から同じ瓦に葺き替える場合は、1ヶ月ほどかかる場合もあります。
一方、カバー工法にかかる費用は、同じ広さの住宅で70~100万円くらいです。工期も1週間前後で済みます。アスベストが使われている屋根材でも、そのまま重ね張りするので、除去や廃棄にかかる費用は発生しません。
割れた瓦の修繕
屋根材が瓦で、割れたり欠けたりしている場合は、基本的に交換となります。費用は1枚あたり、施工費も含めて1~3万円が目安です。
交換の際にシリコンで固定したり、コーキングで隙間を埋めたりすると、数万円ほどの追加料金が発生します。漆喰を塗り直す場合も同様です。工期は範囲にもよりますが、1日か長くても3日くらいで終わります。
波板の張替え
波板を張り替えるときは、破損している個所が真ん中だけでも、端から該当の箇所まで剥がすのが一般的です。そのため、張り替える枚数によって費用は上下します。
1枚の波板は、縦が182cm、横が65.5cmの規格があり、塩化ビニルやトタンは1枚800円程度と安く、ポリカーボネートは1,000円以上と高めです。特殊な機能を持たせると、さらに高くなります。
これに施工費や諸経費を加えると、費用は約5~6万円くらいです。工期は、ほとんどが1日で終わります。あくまでも目安なので、詳しい費用は業者に相談して、見積もりを出してもらうと良いでしょう。
【業者選び】トラブルを防ぐコツ
屋根の修理をしてくれる業者は、数多く存在しますが、すべてが良心的ではありません。ずさんな修理をしたり、法外な金額を請求したりする業者も一定数存在します。
トラブルを防ぐには、どのような点に着目すれば良いのでしょうか。
ヒアリングが丁寧
業者に相談して見積もりを依頼すると、現地調査に来て屋根の状態を調べてくれます。少なくとも1時間はかかるため、あまりにも短すぎる場合は警戒したほうが良いでしょう。
その後、現地調査の結果を踏まえてヒアリングを行いますが、こちらの話を聞いてもらえず、一方的に話すだけの業者はおすすめできません。質問に対して丁寧に回答したり、不明な点を解消してくれたり、現在抱えている悩みをしっかり聞いてくれたりするのが理想です。
良し悪しを比較したり、相場を知ったりするためにも、見積もりは複数の業者に依頼しましょう。
対応が早い
屋根の破損は、放置する期間が長くなると、雨水が侵入したり、劣化が進んだりして被害が大きくなります。冒頭で述べたとおり、葺き替えなど大がかりな工事が必要になるかもしれません。
できるだけスピーディーに対応してくれる業者を選ぶと良いでしょう。本格的な修理まで日数がかかるなら、応急処置だけでもしてくれると安心です。
おうちの御用聞き家工房では、屋根の修理をはじめ、家に関するトラブルであれば、何でもご相談を受け付けております。トラブルの原因が特定できなくてもOKです。修理の前には現地調査を行い、丁寧にヒアリングいたします。
屋根のトラブルでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。最短、即日でお伺いいたします。
まとめ
屋根は、定期的に塗り替えなどのメンテナンスが必要です。屋根材の耐用年数が過ぎたら、葺き替えかカバー工法で屋根を一新します。丁寧にヒアリングを行い、スピーディーに対応してくれる業者に依頼するのがおすすめです。